ほのかに別のホモカップルもでてきたりして

山田ユギは大人の恋も上手ですが、学生の瑞々しい感情を描くのも逸脱です。
まっすぐで頭が悪くて社会を知らない、本当にそこらへんにいそうな学生が出てきます。
『どうして涙が出るのかな』は中学生から大人になるまでの二人の関係を描いた作品です。
ひたすらにすれ違いを繰り返すのでじれったいことこの上ないです。
けれど、時間も距離も関係ない思いの強さはラブストーリーならではの醍醐味ですよね。
二人の出会いは中学生のときでした。
いじめられっ子で話し下手で友達のいない、顔だけはべらぼうにいい早川は、朝、自分の家の前を通って学校に行く泉谷のことが好きになります。
それで突然キスをしかけ泉谷に嫌がられたりもするのですが、そんな中親の離婚が原因で転校が決まって、早川は泉谷に手紙を残して東京に行ってしまいます。
ですが、早川が選んだ高校は泉谷の行く高校。
再会してからまた泉谷に迫るのですが本気で嫌がられていることを知り再び転校してしまいます。
夏休みに祖父の面倒を見るため戻ってきた早川と泉谷は普通にキスをする関係にまで進呈するのですが、いつも早川からだったキスを始めて泉谷からしかけたときに、早川はまた泉谷の前から姿を消します。
泉谷にキスをされ、このときになって初めて早川は自分が恋愛対象として泉谷を見ていたことに気付くのです。
遅いし鈍すぎです。
今まで散々好きだ好きだとキスしておいて、早川は単純に泉谷のことを友達として好きなんだと思い込んでいたのです。
これまで友達がいなかった早川ですから、友達の好きと恋人の好きの違いを見分けることができなかったのでしょう。
初めは早川攻めだろうと思っていたのですが、読み進めるうちに早川の鈍感っぷりと間抜けさとへたれさが目に付きはじめ、次第に泉谷は男前に成長しているし、あれ、早川受けなのかしら、と思っていたら迫るほうは泉谷ながら体勢としては早川攻めでした。
「おれはどっちでもいい」と言っていることから、おそらくもしこのシリーズの続編が描かれていたらリバ設定だったのでしょう。
個性的な脇キャラが周りを固め、ほのかに別のホモカップルもでてきたりして二度おいしいです。