とりあえずネタとして一度読んでみたらどうでしょうか。

木原音瀬の作品の中でもイロモノに入るだろう、『ドント ウォーリー ママ』直訳すると「ママ、心配しないで」ということになるが…。
表紙の段階からなんとなく嫌な予感はする。
なんてったって受けが背中から攻めに抱きついていて顔が見えないのだ。
BL小説で受けの顔が見えないことなどありえるだろうか。
さあ、これからめくるめく男たちの絡みを堪能しましょうというときに受けの容姿が謎に包まれているのである。
BLにおける受けは腐女子の癒しの存在にならなくてはいけない。
美少年、美青年であることは望ましいが、容姿は普通でもせめて健気でいじらしく、もしくはツンデレで攻めに愛される要素満載であれば、それで満足もいく。
昨今、「不細工受け」もひとつのジャンルとしてもてはやされているが、この作品は中でもハードルの高い部類に入るのではないだろうか。
受けは今蔵という、攻め裕一のできない上司。
できないどころか性格も最悪で100キロを超える巨漢。
マザコンで性器は短小なうえに包茎。
高校生のときに「ミニウィンナー」とからかわれるのも頷けるほどの小ささ。
唯一の長所(?)は30超えているくせに肌が白くて綺麗なことくらいである。
そんな上司と二人無人島に取り残されたことから、二人の関係がどんどん縮まっていくのだが…。
裕一はもともとゲイである。
無人島になんか取り残されたせいで、今蔵にまで欲情してしまうかわいそうな人だ。
しかし、今蔵も最初こそ性格が悪かったものの、裕一に説教され一緒に生活していくうちにだんだんと真人間に成長していくのが救いだろう。
どんなBLだよこれ、と思うのも無理はないのだが、安心してほしいのは恋によってちゃんと今蔵が受けとしてふさわしい姿に変貌を遂げることだ。
無人島に残されたことが良かったのか、100キロ超えていた体重も徐々に減っていき、裕一のおかげで自分の夢を取り戻して、自分にべったりだった母とも決別を決める。
この作品をもっとイロモノにしているのが、ちゃんとした人間に思われた裕一の変態さである。
今まで交際経験のない今蔵の純粋さを逆手にとり、さまざまなえろいことをしかけていくので、エロ度も濃い。
こんなやつだったのかと読んでいくうちに裏切られた気分になってくる。
コスプレプレイもあれば剃毛プレイもある。
読んだあとはおなかいっぱいなのだが、いったいなにが起こったのかあまり覚えてない。
テンポがよくて話は普通におもしろいので、とりあえずネタとして一度読んでみたらどうでしょうか。